納得などできるはずがない。しかし、納得をする・しないはとりあえず今は置いておくとして、沙織は指を折りながら確認した。
「ええと……。こんがらがって来たんで確認しますね?」
理不尽だ、と叫びそうになるが、それもとりあえず今はおいておく。
「『金色』のアレって、『時間の裏側』から『空間』を切り離したりするだけじゃなくって、今の時間を『終わり』にさせることができるっていうのが一つですよね」
「そうだな」
「それだけじゃなくって、その気になったら『他の時間軸』へも影響を及ぼしたり、侵食しようとしたりできるんですよね」
「そうね」
「おまけに、『他の時間軸』へ影響を及ぼせるってことは『今居る時間軸』……たとえば、過去の時間へも影響を及ぼせる……ようなことも、この間飯綱先輩や燕先輩が言ってた気がするんですが……」
「なんだ、結構ちゃんとわかってんじゃねーか」
とんでもないことを自分が羅列したことを、沙織はわかっている。…というか、何かの冗談か夢なら醒めて欲しいところだ。
いつの間にか『風』がやんでいる、と沙織は気が付いた。実際の大気の流れではない、あの『風のように感じる風』が、いつの間にかやんでいる。
「……これはまた、相変わらず派手というか。容赦ない、ね……」
翠のつれてきた彼女は、突っ伏したまま動かない(いや、下手に動かれても怖いが)氷鉋を見据えてぼそりと言う。
「……殺しては居ない」
はずだ、と保険医が小さく続けたことは、幸いにも凛や沙織には聞こえなかった。黒姫がなんともいえない微妙な顔をしたことに燕と翠は気が付いていたかもしれないが。
怪我をしていないにもかかわらず、当の重傷者と同じぐらい血の気を失った凛の隣にその女性はひょい、と近付く。
「大丈夫。死んでいなければ、それは生きている、ということだもの」
当然のように当然のことを言って女性は凛の肩に手をかけた。
「貴女にも教えてあげる」
正確に何が起こっているのかはまったく理解が不可能だった。しかし、屋上へ出た凛と燕は、ともかく、交戦中であることをまず認識した。
そして氷鉋のクナイが飛騨を狙って…そして、それを飛騨が弾いたところでようやく交戦理由と状況が見える。
「何故」などという疑問は今は考えている余裕は無い。わかっているのは氷鉋が飛騨を攻撃していることと、それを生徒会の顧問が迎え撃っている、という理解に苦しむ状況である、ということだけだ。
世界が歪んだ感覚に、生徒会室で一番先に気が付いたのは凛だった。ぞわ、と背筋の凍るような悪寒に天井を見上げる。
「これは…」
それとほとんど同時に保険医が小さく舌打ちをした。
「風が…」
後にいた新をするりと避け、生徒会室を飛び出す保険医の後を凛が追いかける。
「新君、籠目を!」
「へ?」
珍しく声を荒げた凛の言葉に飯綱はようやく一拍遅れてその言葉の意味を理解する。理解は一拍遅れたが、そこからの新の反応は早い。先を行く保険医が屋上への階段を一段上る前に彼の掌の上で光の網がゆらりと翻り、二段目を抜かして三段目に足をかける前に部活棟は、その屋上を含めて籠目に覆われていた。
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